最初の道着を選ぶときに知っておきたかったこと|長く使える一着の話
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はじめに ― 最初の一着を選ぶときに迷ったこと
もし今、あなたが最初の道着を選ぼうとしているならーー
柔術を始めたばかりのころ、
初めて道着を買おうとして検索すると、
驚くほどたくさんのブランドが出てきました。
価格も素材もバラバラで、
正直、何が良いのかまったく分かりませんでした。
そのときは、「とりあえず安いもの」や
「見た目がかっこいいもの」だけを基準に選びました。
でも、数か月もしないうちに気づきました。
道着は、値段やデザインだけでは決められないということに。
何度も洗ううちに袖は縮み、
汗のにおいは取れなくなり、
生地も少しずつくたびれていきました。
道着を選ぶときに確認したい、最低限のポイント
初めて道着を買うときのよくある失敗は、
「情報」だけで選んでしまうことです。
価格、ブランド、デザイン。
もちろん大切ですが、本当に見るべきなのは、
自分がどんな稽古を続けるのかです。
週に1〜2回の人と、ほぼ毎日稽古をする人では、
道着に求める条件はまったく違います。
• サイズ
同じA1でも、ブランドごとに長さや幅は異なります。
表記だけで判断せず、体型や好みに合うかどうかを確認することが大切です。
• 枚数
週2回以下なら1着でも回せますが、
毎日稽古するなら最低2着は必要です。
洗って乾かす時間を考えると、1着では足りません。
• 価格
生地の密度、縫製の丁寧さ、耐久性。
価格には必ず理由があります。
ただし、高ければ良いというわけでもありません。
大切なのは、自分の稽古スタイルに合っているかどうかです。
結局、軽さや見た目よりも、
「どれだけ長く、稽古に付き合ってくれるか」
それが一番の基準だと思います。
価格の違いはどこから生まれるのか ― 高ければ良いとは限らない
道着の価格は本当に幅があります。
1万円台から、2万円、3万円、4万円を超えるものまで。
でも、「高ければ品質も良い」という単純な公式は通用しません。
低価格の道着は軽くて動きやすい反面、寿命は短めです。
中価格帯はバランス型ですが、素材がコットンである限り限界があります。
高価格帯は、素材よりもブランドやデザインの価格が含まれていることも少なくありません。
結局、ほとんどの道着は同じ「コットン」で作られています。
だからこそ、価格差は本質的な差になりにくいのです。
そこで、私たちはこう考えました。
「素材が変わらなければ、意味も変わらない。」
それが、ヘンプに目を向けた理由でした。
コットン道着は、洗うほどに縮みやすく、においも残りやすくなります。
こうした「素材としての限界」については、以前こちらで詳しく解説しました。
→ コットン道着が長持ちしない本当の理由
ヘンプという選択肢 ― 実際に着てみてわかる強さ

ヘンプは丈夫で、においがつきにくい。
そんな話は前から耳にしていました。
でも、本当の良さは実際に着てみないと分かりません。
最初は少しざらっと感じても、
洗うたびに繊維がやわらかくなり、
体の動きに自然になじんでいきます。
黄ばみにくく、においも残りにくい。
そして、簡単には擦り切れません。
私たちが見ていたのは、
軽さでも、見た目でもありません。
毎日の稽古に、どれだけ耐えられるか。
ただそれだけでした。
手入れ ― 気を使わなくても長く使える服

柔術の道着は、汗と摩擦と洗濯にさらされ続けます。
だからこそ、「扱いにくい素材」では意味がありません。
ヘンプは特別なケアを必要としません。
多少乱暴に扱っても破れにくく、
自然の抗菌性によって、においも残りにくい。
「丁寧に扱わないといけない高級生地」ではなく、
雑に使っても変わらない素材」。
それが、私たちが求めていた強さでした。
ヘンプと持続可能性

ヘンプは、農薬や大量の水を必要とせずに育ちます。
そして、長く使えるということは、
捨てられる道着が減るということでもあります。
私たちは、「エコだから」ヘンプを選んだわけではありません。
ただ、毎日の稽古に耐えられる素材を探した結果、
答えがヘンプだっただけです。
丈夫であることは、
一番正直なサステナビリティだと考えています。
最後に ― 長く使える一着を選ぶということ

道着を選ぶ基準は、
「新品のときにどう見えるか」ではなく、
「何年後にどうなっているか」だと思います。
多くの人が、1〜2年ごとに道着を買い替えます。
けれど、毎日の稽古を共にするものが、
短いサイクルで消費されていくのは少し違う気がしました。
ヘンプの道着は、単なる丈夫な服ではありません。
稽古の積み重ねを支える「道具」です。
それが、私たちがヘンプを選んだ理由であり、
この文章を読んでいるあなたに伝えたい基準です。