装備が自分のものになるとき
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新しい装備は、まだ誰のものでもない
新しい装備は、誰にとっても同じです。
同じ形、同じ素材、同じ色で作られているため、まだ誰のものでもありません。
手に取ったときは硬く整った状態で、身につけると少しだけ違和感があります。
まだその人の動きや癖を知らない状態です。
だから最初は、身体よりも装備の存在を強く感じます。
繰り返しの中で生まれる変化
稽古を何度か重ねていくと、目には見えにくい変化が現れます。
折れる位置が少しずつ決まり、よく触れる部分は柔らかくなっていきます。
動きの多い部分には自然にシワが生まれます。
見た目は大きく変わらなくても、使った分だけ少しずつ変わっていきます。
最初は意識していた感覚も、いつの間にか気にならなくなります。
考えなくても身体についてきて、動きを邪魔しなくなります。
やがて、装備の存在を忘れ、稽古に集中できる瞬間が訪れます。
自分のものになる瞬間
ある日、新しい装備を身につけたときに、逆に違和感を覚えることがあります。
同じ形であっても、どこか落ち着きません。
そのとき、すでに身体に馴染んだものがあることに気づきます。
その違いは、積み重ねてきた時間から生まれます。
装備が自分のものになる瞬間とは、おそらくそういう時なのだと思います。
身体が先に覚え、意識しなくても信頼できる状態。
特別な印がつくからではなく、繰り返しの中で自然に馴染んでいくものです。
稽古が一日で身につかないように、
装備が「自分のもの」になるにも時間が必要です。